測定技術情報


検体量と検出下限・・サンプル量の決定

必要な検出下限を得る為のサンプル量とは?

検体量が多いほど測定時間が短くても必要な定量下限を得られます。

ゲルマニウム半導体検出装置による核種検査では、定量下限を左右する要因として、測定時間と検体量が非常に重要です。 測定時間を長くとれば検出器に当たる放射線により得られるパルスが積算される時間が長くなり、より良好な検出下限を得られます。 一方、検体量が多くなれば検出器に、より効率良く放射線を当てる事が可能となりますから、同じ測定時間でも定量下限はより低くなります。 従って、測定容器として最大の2L容器(マリネリ容器)に検体を充填し、これを長時間測定する事が、最も良好な定量下限を得られる事になります。(水等で、濃縮によりさらに検体量を増やす手法もありますが、ここでは一般的な測定方法として扱います)

100g検体量での測定

以下に100gの検体量の場合の定量下限一覧を示します。 100gの検体量の場合は、U8という容器を使用しますが、2000秒測定でも定量下限は5 Bq/kg程度がやっとです。 このU8使用の場合には、放射性セシウムがある濃度検出されるものや、土壌などの高濃度のものについて使用します。 また一定の定量下限での迅速なスクリーニング検査(ゲルマニウム半導体検出装置を用いる)でも使用されます。
しかし、新規制値では、2000秒測定で必要な定量下限に届くかどうかという水準です。

100g測定時間.jpg

1kg(1L)検体量での測定

次に、1kgの検体量での定量下限一覧を示します。 1Lの検体量があれば1,200秒測定でも飲料水を除いてすべての分類について、必要な定量下限を確保できます。 しかし飲料水については、この検体量では所定の定量下限に到達しません。

1kg測定時間.jpg

2L(2kg)検体量での測定

最後に2Lの検体量での定量下限一覧を示します。 2Lの検体量があれば測定時間が短くても(10分)新規制に十分な定量下限値を確保できます。 測定時間・検体量を踏まえると検体量が多いほど、明らかに測定時間が短縮できます。 測定時間を検討する場合、このように検体量・測定時間を踏まえて、最適な測定計画を構築します。 ただし、飲料水については、2000秒測定でもまだ必要な定量下限(0.5Bq)を達成できません。 飲料水で安定して定量下限0.5Bqを達成する為には、概ね3,000秒以上の測定が必要となります。

2L測定時間.jpg

検体量が多いと何故、定量下限は下がるか

ゲルマニウム半導体検出装置の検出器にどのように検体がセットされるかを示します。
U8容器と2Lのマリネリ容器を検出器にセットした状態の写真は以下のようになります。
R0018085.jpgU8容器のセット状態R0018079.jpg2Lマリネリ容器のセット状態
U8容器の場合、検出器の上面に容器がセットされているのに対して、2Lのマリネリ容器では、検出器を取り囲んで容器がセットされます。 それぞれ検体を満たした場合、低濃度の放射性物質を測定する場合、放射線の検出器への当たり方は、2Lマリネリ容器を比較すると容易に理解できるでしょう。
一方、検体の放射能濃度が高い場合には、2L容器を使用すると検出器に測定可能以上の放射線が当たり測定が停止(デッドタイムといいます)します。 つまり、検体の放射能濃度を踏まえて、適切な容量の容器を設定する事が効率良く測定を行う上で重要となります。