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測定技術

公定法(文部科学省法)による放射性ストロンチウムの測定

放射性ストロンチウム・・公定法(文部科学省法)による測定

放射性ストロンチウムの精密測定

放射性ストロンチウムの公定法検査においては、20段階を超えるような複雑な抽出・精製工程を経て、β線を測定します。 γ線を放出する放射性セシウムなどの場合は、ゲルマニウム半導体検出器を用いてスペクトルを解析する事で、核種を特定できます。 しかし、β線の場合は、エネルギースペクトルによる核種特定ができない為、放射性ストロンチウムのようにβ線のみを放出する核種の場合、他のβ核種を除外して放射性ストロンチウムのみを測定する必要があります。

Sr環境試料分析フロー.jpg公定法の処理手順放射性ストロンチウムの場合、まず検体を酸分解し、炭酸塩沈殿によりストロンチウム等の元素を沈殿させます。 次にシュウ酸による沈殿処理を行い、ストロンチウム及び同種のカルシウムなどを沈殿させ、他の金属類と分離します。 その上でイオン交換樹脂を用いて、カルシウムを分離する事でストロンチウムを精製します。 次に、β線測定では、ストロンチウム90は壊変によるイットリウム90を生成します。 ストロンチウム90に比べてイットリウム90はより強いβ線を放出する事から、ストロンチウム90の測定では、実際には、「ストロンチウム90から生成されるイットリウム90」を測定します。 ストロンチウム90は、壊変によりイットリウム90を生成しますが、約2週間程度で「放射平衡」というストロンチウム90とイットリウム90の濃度が等しくなる状態となります。 この放射平衡を利用して、イオン交換処理によりストロンチウム90を単離した後、「スカベンジング」とよばれる処理により単離したストロンチウム90から壊変により生じたイットリウム90を除去し、ストロンチウム90のみとします。
この状態で2週間以上静置するとストロンチウム90とイットリウム90の濃度が同等となります。 

この状態から、ミルキングというイットリウム90のみを抽出する工程によりイットリウム90のみが精製されます。このイットリウム90のβ線を測定すればストロンチウム90と同じ放射能濃度となります。

放射性ストロンチウム公定法測定案内.pdf

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放射性ストロンチウムの迅速測定と精密測定

R0017579.jpg放射性ストロンチウムの測定においては、同位体研究所は固相抽出法による迅速測定と公定法による精密測定の両方を実施しています。 迅速法の利点は、ストロンチウムを吸着するディスクにより選択的にストロンチウム90を回収し、β線を測定します。 一般食品や水などでは効率良く測定が可能です。 しかしカルシウム量が多い食品や骨、多数の核種が含まれる土壌や焼却灰の場合、ストロンチウム90の回収用のディスクに他の元素が吸着されてしまう現象が生じます。 特に鉛が多く含有される状態では、放射性鉛(β線を放出する)がディスクに吸着される危険性が生じます。 このため土壌や焼却灰などの測定では、精度が必要な測定では公定法測定が用いられています。 現在、測定妨害となる元素を除去した上で、迅速法で、土壌や焼却灰などの測定法の手順開発が進められています。

公定法の利点は、なんと言っても多段階で妨害元素を除去し、ストロンチウム90の単離を行いβ線測定を行う事から、検体中の他のβ線核種の妨害を受けず、精度良くストロンチウム90の測定が可能となる点です。 またイットリウム90の生成後β線測定を行う事から、もしストロンチウム90以外の妨害β核種が存在していれば、イットリウム90の測定段階でも確認されます。 
一方、迅速法の場合、利点は何と言っても測定に要する時間が短い(放射平衡を待つ必要がないので、測定は5〜10日程度で完了できる)、測定の工程がより簡素である事です。

大量の検体を迅速に測定する場合、またコストの点からも迅速法は、非常に有効です。 一方で、公定法による精密測定は確認検査としては非常に有効です。 それぞれの測定法の利点を踏まえた場合、多検体・迅速なスクリーニング検査では、迅速法を用い、もしストロンチウム90が検出され、精密検査が必要な場合には、公定法による確認検査を実施するという利用方法もあります。 
同位体研究所は、高カルシウム含有検体や、土壌、焼却灰を対象とした迅速法の工程開発を実施しています。 今後、それぞれの測定法の制約点・利点を生かした効率良い検査への対応を進めて行きます。

ベータ線測定装置・・CANBERRA SERIES5 XLB

放射性セシウム等、多くの核種の測定は、ゲルマニウム半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーで行います。 しかし、放射性ストロンチウムは、ベータ線であるので、この装置では測定はできません。 ベータ線の測定には、液体シンチレーション測定装置を用いても可能ですが、高精度で効率よく測定を行う為に、CANBERRA社のシリーズ5XLBという低バックグラウンドα/ β線測定装置を用いています。 この装置は、内部に厚さ10cmの鉛遮蔽対があり、周辺からのベータ線を遮蔽し、検体を効率よく連続50検体測定する事が可能です。
3M社製のRadDiskは、直径47mlであり、ストロンチウムの回収後、直接β線測定装置のプレート上において、直ちに測定が可能となります。
測定では、1測定は、60分で行われます。 検出限界は、0.01Bqです。 ストロンチウムの抽出に例えば10gを用いた場合には、1kg単位に換算する場合、検出限界は、0.01Bq x 100で1Bq程度となります。 水などの液体を1L使用した場合には、0.01Bq/Lでの検出が可能となります。